関係機関協議の開示資料で明かになったこと

本体建設を前に、中部地整は国土技術政策総合研および土木研との協議を行った。内容は、①ダムサイトの地質と②ダムサイト直上流左岸の地すべりSL-3,4ブロックについてであった。

①ダムサイトの地質

資料①を見ると、協議したのはダムサイト左岸の地質(複数の東西断層等)に絞られている。右岸側で見つかったF-③断層については、資料の p. 18の平面図(図‐2.4.4)には「熱水変質を受け、NE-SW走向」との説明が書かれている。この説明では、ほぼ南北方向を向いているダム堰堤の直上流に位置しており、北東‐南西(NE-SW)走向ならダムサイトにギリギリかからないと理解してしまう可能性がある。ところが、資料の p. 20の水平断面図(図‐2.4.6)には、F-③断層はNW-SEの走向であることが明示されているが、こちらには何の説明もなされていない。2017年10月26日に行われた関係機関協議ではダムサイト右岸に関する検討は行われなかった。しかも、ダムサイトで見つかった主な断層の内、F-③断層が検討の必要がある断層であるのを隠そうとしたのではないかとの疑いがある。その後、中部地整はダムサイト右岸側、とりわけF-③断層についての詳細調査をしたことはなく、ダムサイト右岸側の地質について関係機関協議にかけることもなく現在に至っている。

②ダムサイト直上流左岸の地すべりLS-3,4ブロック

 地すべりブロックについての協議は、2018年2月6日に実施されている。

 資料②を見ると、p. 79の 図-5.3.16 SL-4 精査結果 平面図/には、SL-4 精査ブロックとして、以下のような表示がなされ、200m~300m にも達する広がりと位置が示されている。

  • ① SL-4 深層超大ブロック
  • ② SL-4 深層超大(内)ブロック
  • ③ SL-4 深層大ブロック
  • ④ SL-4 深層中ブロック

また、p. 85~p. 93 には、多数の断面図が示されており、すべりブロックの厚みが、場所によっては50m をも超え、地下深くまで達していることが読み取れる。

なお、p. 105~ では、安定解析について、通常の(浅層)地すべり解析に用いる簡便(Fellenius)法によって行ったこと、およびその結果が示されている。この結果は、多くの仮定の上に計算されたものであり、深層崩壊を対象としての安定解析が正確にできるのか否か、不明な点が多いものと思われる。

今回の中部地整の計画変更の理由として、「地すべり」が挙げられているが、この語は、風化した地表の土砂が移動する通常の「地すべり」を想起させるが、情報開示資料に示されている事実は、「深層崩壊」ないしは「深層すべり」であり、巨大な岩盤が滑動して、ダム湖に落ち込む恐れがある場所であることを示している。深層崩壊を起こす恐れがある場所に巨大ダムを建設してもよいという国のマニュアルは存在しないはずである。中部地整は言葉の選定を故意に間違えているのではないかと思われる。

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