国土交通省中部地方整備局の4月20日付の“回答”について

国土交通省中部地方整備局の4月20日付の“回答”について

PDF版  :  地質地盤問題_反論_確定版_

2015年7月12日

国土交通省中部地方整備局設楽ダム工事事務所のウェブサイトに掲載された以下の二つの平成27年4月20日付“回答”文書に対する反論

1「設楽ダム建設予定地周辺の地質地盤についての公開質問状(その2)への回答について」

http://www.cbr.mlit.go.jp/shitara/01menu/08faq/pdf/koukai2.pdf

2「設楽ダム建設予定地周辺の地質地盤問題についての追加の公開質問への回答について」

http://www.cbr.mlit.go.jp/shitara/01menu/08faq/pdf/koukai(tuika).pdf

 

設楽ダムの建設中止を求める会

代表  市野 和夫

Ⅰ.文書1に対して

1.「2.ダムサイト近傍地域の地質及び地質構造について」

<第四紀断層について>

公開質問状(その2)では、平成5(1993)年度報告書には延長するとダムサイトに向かう複数の断層(②, ③, ④)が確認されているにもかかわらず、平成8,9(1996, 7)年に実施された線状模様の再調査と現地踏査にはこれらの断層について現地踏査による連続性の確認などの調査が含まれていないことなど具体的な事実を挙げて、調査が不十分であり、第四紀断層が存在しないと結論を出すことは早計であるので、訂正を求めたものです。

今回の“回答”の「平成8年度に空中写真判読、平成9年度に現地地表踏査を実施し、ダム堤敷から離れていること、ダム堤敷に向かう方向性を示さないことから、設楽ダム建設にあたり問題のある第四紀断層は存在しないと判断しております」は、われわれの問いに答えていません。

 

<断層破砕帯について>

平成8年度の段階では無いとされていた中流案ダムサイトを通る断層が平成14年度のボーリング調査で見つかりました(F-3)。また、1963年の電源開発(株)による調査で確認された“電源開発のF-1断層”が通っているにもかかわらず、中部地整の調査報告書には対応する断層が記載されていないなど、断層破砕帯が精査されていない点を問うたのに対して、「ダム堤体の設計に支障となるような大きさと連続性があるものは確認されていない」との“回答”で、これもわれわれの問いに答えていません。

 

2.「3.ダムサイト右岸の凹状地形について」

われわれの質問は、「平成5年度設楽ダム地質検討業務委託報告書」39頁の図-4.11「凹状地形分布図」には凹状地形に沿ってリニアメント⑤が描かれているのに対して、本文38頁には「凹状地形の形成を規制するような断層などの弱線は確認されなかった。」と書かれていることは矛盾しているので、右岸斜面にある大きな地すべり地塊を含めて、徹底した調査の必要性を問うたのです。

今回の“回答”の「ご指摘の平成5年度報告書にあるリニアメントは、・・・、第四紀断層の疑いがある線状模様には抽出されておりません。」は、全く答えになっていません。われわれは、リニアメント⑤が第四紀断層であるかどうかを問うたわけではありません。

 

3.「4.ダムサイト近傍及び貯水池周辺の透水性について」

われわれは、「平成5年度報告書」に具体的に記載されている「第三紀層基底部の礫岩とその上位の砂岩等」がダム湖満水位の下になる場合、および「上流案地点の河床付近には南北に通ると予想される断層」があり「南部まで連続している場合」について漏水が問題となる点について、詳細な調査が必要であることを問いました。また、同報告書の付図『地質平面図(C-5)』(注1には、田口南西部のシウキ地区の広い範囲にわたって泥質片麻岩が分布しているように描かれていますが、われわれは第三紀層であることを示す二枚貝や巻貝の化石をここから採取していることも申し添えています。

今回の“回答”は、上記の質問に全く答えていません。78孔のボーリング調査をやったと述べていますが、これらは、われわれが質問した漏水問題と関係のない地点でのボーリングです。

4.「5.貯水池周辺の地すべりについて」 (略)

5.「Ⅱ.田口西部の地盤問題について」

平成19年度の田口田尻地区のボーリング調査で、標高380~390m付近に堆積層が確認され、段丘堆積物であると報告されているのに対して、われわれは、この堆積層は第三紀層である可能性があり、ダム湖に貯水した場合の漏水や地すべりの恐れを指摘し、詳細調査の必要性を問いました。

今回の“回答”は、含まれる礫が丸みを帯びているから段丘堆積物と判断したとしていますが、これでは根拠になりません。第三紀の海岸に堆積した礫も丸みを帯びている堆積物であることには変わりなく、この問題も詳細な調査を行うことが必要です。

また、仮に段丘堆積層である場合、直近を走るF1断層がこの層を切っているか否かの調査が必要です。切っていれば、F1は第四紀断層(活断層)ということになります。

Ⅱ.文書2に対して

1.松戸西方の断層について

われわれの質問は、平成4, 5年度報告書に記載されている松戸西方の断層と、平成元年度報告書に記載されている線状模様25の連続性について調査が必要だと思われる点を聞いたものです。この断層はシェアゾーンを伴うと記されていることから破砕帯が何本も発達し、カタクラサイト(断層岩)を伴うとされる(平成5年度報告書、表-4.1ダムサイト付近に位置する断層一覧表)要注意の断層であり、また、田峯方面からダムサイト直下方向に向かう線状模様25は、左ずれの系統的な変位地形がみられる(平成9年度設楽ダム線状模様調査検討業務報告書、表-2.2.1 各線状模様の特徴)ことから、第四紀断層の可能性が高いものです。もしも、これらの断層や線状模様が第四紀断層であるとすれば、ダムサイト右岸の松戸尾根の凹状地形の形成や、ゆるみゾーンの形成の原因となっている可能性もあることから、詳細な調査の必要性を問うたものです。

今回の“回答”は、何の具体的検討もしないで、従来の「第四紀断層は存在しない」との見解を繰り返したにすぎません。

2.松戸尾根、地すべり土塊を切る断層について

われわれの質問は、「平成4年度設楽ダムサイトボーリング調査(その2)報告書」に「D1のボーリングと踏査結果により、新たな破砕帯を発見しF-5とした」と記載され、付図「調査位置及び地質平面図」(注2には、断層の走向が記され、これが松戸地区のいわゆる“ゆるみゾーン”を切って凹状地形に達していることが示されていますが、この断層について、その後行方不明とされ、ないことにされている点について、中部地整の見解を問うたものです。

今回の“回答”はこの疑問点について、全く答えていません。

 

(結論)

以上のように、われわれの具体的な質問に対して、「設楽ダムダム建設上問題となる地質地盤の課題はない」との見解を繰り返す中部地方整備局の回答姿勢からは、建設予定地および周辺の地質地盤について万全の調査義務を負うべき事業者としての自覚があるとは思えません。

われわれは、ダム予定地周辺の地質地盤問題は、建設地周辺および豊川流域の住民の生命・財産にかかわる重大問題であり、また建設費用の膨張に直結することから、今後さらに追及を続けてまいります。

(注1)「平成5年度設楽ダム地質検討業務委託報告書」付図「地質平面図(C-5)」より、田口シウキ地区付近(化石出土地点 X を加筆)

078-0012Lpart+X

Pegn : 泥質片麻岩; Ssgn : 砂質片麻岩; Ss, Ms : 第三紀層

(注2)「平成4年度設楽ダムボーリング調査(その2)報告書」付図「調査位置及び地質平面図」より、(加筆:F-5, ゆるみゾーン, 棚田)

078-0025L+let

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