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意見書例 準備書についての意見 2006 年7月28日準備書の名称 豊川水系設楽ダム建設事業の環境影響評価準備書 環境影響評価準備書について環境保全からの意見 住所・氏名 住所 略 氏名 市野和夫 1 全般的な意見(設楽ダム建設事業計画を推進する事業者の姿勢に関して)【意見】: 設楽ダム建設事業計画は白紙撤回されるべきである。 【理由】: 1977年に始まり2001年に完成した水資源公団(現水資源機構)の豊川総合用水事業により、豊川水系の水供給施設の能力が向上し、水需給の状況が大きく改善されたことは明らかな事実である。にもかかわらず、国土交通省中部地方整備局は、豊川流域委員会の審議において、また国土審議会水計画部会豊川部会の審議において、この事実を伏せて、あるいは十分な資料を示すことなく、「4年に1回の渇水状況を10年に1回に改善するため」に設楽ダム計画が緊急に必要であるという誤情報をそのまま訂正せず、委員会審議をいわば惑わせることによって、強引にダム計画を推進してきた。もしも、国土交通省中部地方整備局の説明のとおりならば、1177億円の税・資金を投入して実施された豊川総合用水事業は、水需給に何の影響も与えなかったことになる。そのような無駄な事業がなされたのならば、総合用水事業に対して厳しい監査を行なう必要があるはずである。事実はそうではなく、2006年2月に全部見直しがなされたいわゆるフルプラン(豊川水系水資源開発基本計画)の検討の際の資料で明らかなように、2017年時点における水需給見通しで、毎秒1m3あまりの余裕が見込まれる状況になっているのである。今回、公開された設楽ダム建設事業計画環境影響評価準備書の記述においても、「 4年に1回の渇水状況を10年に1回に改善するため」という利水目的は、何らの修正もされていない。このような事業者の態度・姿勢は、主権者である住民・市民(審議会の委員をも含む)を愚弄するものである。以上のような経過に照らし合わせてみるならば、設楽ダム建設事業計画は白紙撤回されるべきものである。2.1 事業の目的について【意見】: 設楽ダム建設事業は、「豊川水系河川整備計画の一環として、(1)洪水調節、(2)流水の正常な機能の維持、(3)新規水資源開発、の3つの目的を掲げた多目的ダムをつくる」としているが、新河川法の趣旨に照らして、ダム建設は環境に与える影響が大きいので、ダム以外の方法による事業に切り替えるべきである。この点に関連して、方法書に対して、「代替案・複数案を示せ」とする住民の意見書が多数提出されていた。事業者はこれに誠実に答えるべきである。【理由】: (洪水調節について) ダムに依存する洪水調節は、ひとたびダム管理の予測を上回る大雨に遭遇すれば、豪雨が降っている最中にダムから放流を行なうことになり、ダムによる貯水が却って水害を大きくする危険性を持っている。近年、温暖化の影響とも言われるかつてない強雨が長時間降り続く傾向が現れており、新潟や福井などの豪雨、東海豪雨の際の矢作川の例など、ダムの放流が下流部の水害を大きくしている例が頻繁に起こっている。ダムは、水害対策の切り札ではないし、上流に大きなダムができて水害が生じなくなったとして安心している住民が、いざというときに生命被害を含む甚大な被害をこうむる可能性があることは、各地で実証されている。したがって、洪水調節の予算をダムにつぎ込むのではなく、@下流の堤防強化と河道・河畔林整備、A集水域の適切な管理(森林管理、水田・農地管理、遊水地整備)、B低地(氾濫原)の開発抑制など、総合的治水対策のために振り向けることにより、確実に水害を抑制するべきである。 (流水の正常な機能の維持について) 豊川水系の過去の水資源開発事業(豊川用水事業、豊川総合用水事業など)による特定区間の水涸れ状態を改善するために、新たに巨大ダムを建設して、維持流量を確保するという設楽ダム建設事業の目的は、新河川法の趣旨を完全に逸脱している。なぜならば、巨大な環境負荷をかけて新たなダムを造り、わずかばかりの流れをとりもどすのでは、本末転倒のとんでもない計画であることは言を待たない。水系の総合的な河川管理者として、国土交通省のやるべき仕事は、農水省や水資源機構の水資源開発事業について、不適切なところがあれば、それを指摘して改善させるべきであり、自ら新たな巨大ダムを造ってその欠陥を補ってやることではない。豊川用水・総合用水の管理者や受益者である水資源機構および土地改良区、愛知県、静岡県など(以下、水資源機構等)に対して、取水堰下流の維持流量を確保することを要求し、そのために、節水対策を進めることを指導することこそ、新河川法から求められる国交省がとるべき態度である。 (新規水資源開発について) 1968年に完成した豊川用水は、30年余りの間、年間2億7千万m3の水資源開発計画に基づいて、ほぼ計画に沿った用水量の供給を続けてきた。2001年に完成した豊川総合用水事業は、多くの施設を造って、1億m3余り計画給水量を増やした。したがって、2001年以降は年間3億8000万m3の給水能力が整ったが、実際の水需要は2億7000万m3程度で増えていない。したがって、現実には年間約1億m3も水余りの状況である。したがって、設楽ダムを建設して新規水資源開発をする必要はない。人口の頭打ち傾向は明白であるし、農地(とりわけ水田)の面積は減り続けている。 水系の総合的な河川管理者であるばかりか、港湾の管理にも責任がある国土交通省は、水資源機構等に対して、水資源の節約をし、豊川河口から三河湾奥部への淡水の流入量が減らないよう指導する義務がある。これは汚濁の著しい三河湾(特に渥美湾)に対して、豊川水系の水資源開発事業が、海水交換作用を阻害しているからであり、総合用水事業が掲げている過大な計画給水量削減を指導するべきである。 2.2.5 総貯留容量について【意見】: 方法書の記述と比較して、総貯留容量が2%減少し、有効貯留容量が4%強減少している。どういう理由により、貯留容量が変更されたのか、記述を求める。 【理由】: 本来、方法書の段階に戻ってやり直すのが当然の手続きと考えるが、貯留容量の変更を行なったにもかかわらず、準備書の手続きに進んだのであるから、その手続きが正当であることの説明がなされなければならない。
2.2.6 ダム堤体の規模について 【意見】: 方法書の記述と比較して、堤体の規模は同じであるが、最低水位が6.4m高くなった理由について、記述を求める。 【理由】: 本来、方法書の段階に戻ってやり直すのが当然の手続きと考えるが、最低水位の変更を行なったにもかかわらず、準備書の手続きに進んだのであるから、その手続きが正当であることの説明がなされなければならない。
2.2.7 ダムの供用に関する事項について 【意見】: 洪水調節容量を1900万m3と設定した理由について、記述を求める。 【理由】: 巨大なダムは環境影響が大きいため、ダムを造るとしても必要最小限の規模に抑えなければならない。豊川水系全体の洪水対策は、150年に1度の確率で起きると推定される大洪水を想定して矛盾なく計画されているものではないと思われるが、設楽ダムについて、150分の1確率を採用して、300mmを超える大きな治水容量を設定した根拠の説明がなされなければならない。
【意見】: 利水容量について、方法書の記述から読み取れる7700万m3から準備書では7300万m3に、比べて400万m3、約5.2%減少した理由の記述を求める。 【理由】: 当初の計画から5%を超える計画変更であり、小さい変更とはいえない。変更理由が明示されて当然である。
【意見】: 新規水資源開発について、方法書の記述1.1 m3/秒から、準備書の0.5 m3/秒へ、54.5%も減少した理由について、記述を求める。 【理由】: 本来、方法書の段階に戻ってやり直すのが当然の手続きと考えるが、50%を超える大幅な計画変更を行なったにもかかわらず、そのまま準備書の手続きに進んだのであるから、その手続きが正当であることの説明がなされなければならない。
【意見】: 流水の正常な機能の維持について、有効貯留容量の9200万m3のうち6000万m3、実に65%を超える大きな部分を不特定容量として設定した根拠について記述を求める。 【理由】: 巨大なダムは環境影響が大きいため、ダムを造るとしても必要最小限の規模に抑えることが環境保全にとって大切である。この6000万m3は目的があいまいで、いわばダム規模の水増し部分であり、明快な設定の根拠が示されなくてはならない。
【意見】: 利水安全度について、この6000万m3を使って、おおむね1/4から1/10に引き上げると記述されているが、2001年に豊川総合用水事業が完成して以後、すでに豊川水系の利水安全度は、おおむね1/10の水準に到達しているのではないか。利水安全度について、2001年の総合用水完成以前と以後の比較をしたうえで、不特定容量6000万m3について利水安全度向上分と、流水の正常な機能維持分とに振り分けて示すべきである。 【理由】: 巨大なダムは環境影響が大きいため、たとえダムを造らねばならないとしても必要最小限の規模に抑えることが環境保全にとって大切である。この6000万m3は目的があいまいで、いわばダム規模の水増し部分であり、明快な設定の根拠が示されなくてはならない。
【意見】: 堆砂容量について、方法書の記述では、400万m3となっていたのに対して、準備書では600万m3と変更されている。この変更理由について、記述を求める。 【理由】: 50%増しの大幅な変更であり、本来、方法書の段階に戻ってやり直すのが当然の手続きであるが、少なくとも準備書面上で根拠が示されなければならない。
3.1.a 自然的状況の調査範囲について 【意見】: 調査範囲を「布里上流域」に限定し、布里地点より下流の豊川と豊川河口につながる渥美湾(三河湾東部)を含めなかった理由を明示するよう求める。 【理由】: 豊川(寒狭川)下流部では、設楽ダム計画が目玉の一つに挙げている「流水の正常な機能の回復」のために流域変更を行なうことも含め、ダム建設による著しい河川流量の変化が予測される。また、7300万m3の利水容量と600万m3の堆砂容量を持つ巨大なダム計画であり、閉鎖性が強く汚濁が進んだ渥美湾への悪影響が強く懸念される。三河湾まで調査範囲を広げよという意見は、方法書への意見書のうち56%の多数に上ったことでもわかるように住民の強い意思である。事業者は設楽ダム建設事業が三河湾へ何らの影響も与えないという論拠を示さねばならない。
3.1.b 調査期間について 【意見】: 調査期間は、平成16年度(気象・水象は16年)までとしているが、方法書に対する住民意見ならびに知事意見を受けて、指摘された調査対象、調査方法、調査範囲の拡大等を検討した上で、新たに調査期間を設定し、調査を実施するべきである。 【理由】: これは環境影響評価法が環境影響評価手続きの早い段階で住民等意見を反映させ、無駄な事業のチェックならびに、複数案(代替案)を含めて、可能な限りの回避・低減措置が採用できるように、方法書段階での住民意見聴取の手続きが法律によって義務付けられたのであるから、すでに調査は終了したという段階で方法書の縦覧手続きを行なうこと自体が法律違反である。改めて、方法書に対する住民意見で指摘された問題について、調査期間を定め調査するべきである。
【意見】: 準備書には、降水量、気温、湿度の各月の平均値が示されているにすぎない。設楽ダムの利水目的(フルプラン改訂の理由)にかかわる降水量の経年変化のデータを各観測地点ごとに示すべきである。 【理由】: 設楽ダム予定地周辺の観測点は、1962年ころ以後設置されたものが多く、長期的な少雨化傾向を云々できるほど長く観測データが蓄積されているようには思われない。データを公開して、科学的検証ができるようにするべきである。
【意見】: 準備書記述では、「豊川は集水面積724km2、幹川流路延長77km、段戸山に発し、三河湾に注ぐ」と書かれているが、「豊川の注ぐ、三河湾は閉鎖性が強く汚濁が進んでおり、豊川との関係は密接である」という記述を付け加えるべきである。 【理由】: 方法書に対する意見書でも述べたが、これまでの水資源開発により、豊川の流水のおよそ20%(平年値)が豊川用水(牟呂・松原用水を含む)に取水されており、総合用水事業が完成した2001年以後は、豊川の流水のおよそ33%に達する取水ができる施設が出来上がっている。すでに、豊川から渥美湾へ流入する淡水の減少は、大きな環境影響を三河湾に及ぼしていると判断できる。これに加えて設楽ダムは7300万m3の利水容量を上積みするわけであるから、三河湾への影響について無視してはならない。 (文献:宇野木早苗2005「河川事業は海をどう変えたか」生物研究社p.116、西條八束2002「内湾の自然誌−三河湾の再生をめざして」あるむ p.76」、市野和夫2006「豊川流量と三河湾の汚濁」『三河湾の環境と暮らし』愛知大学綜合郷土研究所 p.42-50)
3.1.2−2,−3 流量および流況について 【意見】: 洪水調節の目標値に関する計算について、用いたデータと方法・精度を含めて、記述するべきである。 【理由】:布里地点を除いた国交省観測点、大名倉、八橋、清崎については、およそ10年程度の観測データしかない。これで、150年確率の洪水(計画高水流量1490 m3/秒および洪水調節量1250 m3/秒)の予測をよい精度で行なうことができるのか疑問である。
【意見】: 調査の実態(誰が、いつ、どのような方法で実施したか)を記述するとともに、期間を決めて再調査するべきである。 【理由】: 重要な種で、事業者の確認した種数が文献に比べて著しく少ないグループ(たとえば、魚類では、文献で15種が挙げられているのに対して、事業者が把握したのは7種であり、同様に昆虫では32/78、中でもカミキリについては0/10である。植物でも77/261であり、カヤツリグサ科の1/15、イネ科の2/9、シダ類の7/31は、いかにも調査が不完全ではないかと思わせる結果であり、再調査をするべきである。
3.1.5−5 魚類について 【意見】: 重要な種の中に、イワナ、アマゴ、アユ、ウナギなど人との関係が深い魚種および、豊川水系で特徴的に多く生息しているカワムツ(B型)をリストに入れるべきである。 【理由】: 自然保護・保全の目的は、自然と人間の持続可能な関係を築いて行くためにこそ必要であり、特異な生物の絶滅を防ぐのが本来の目的ではない。環境影響評価の本来の目的は、もっとも普通に見られる生物への影響がどうなるのかを調べることである。
【意見】: (1)陸域および(2)河川域の記述中、現地の実態と合わない点がいくつも存在し、推測で書いたものと思われるので、現地調査からやり直すことを求める。 【理由】: 落葉広葉樹林の主要構成種としてコナラとともにアベマキが挙げられているが、現地をみればアベマキは主要な構成種ではないことは明らかである。猛禽類の例として挙げられているサシバはともかく、ノスリはこの地域の生態系を代表するとはいえない。クマタカ、オオタカ、ハチクマ、ハイタカ、ツミ、トビなどのうちから例示するべきであろう。スギ・ヒノキ林内に多い低木はアオキやヒサカキである。この地域の渓流的な河川を代表する魚類は、アマゴであり、山地を流れる川のそれは、カワムツ(B型)である。いずれも記述から落ちている。豊川(寒狭川)ではオイカワよりカワムツが圧倒的に多いにもかかわらず、オイカワとウグイが挙げられており、どこか別の川の魚相を写してきたような記述である。
【意見】: アユ釣り、アマゴ釣りや雑魚釣りについての記載を求める。 【理由】: ダム予定地の上流から、下流まで、豊川やその支流は、夏のアユ釣り、早春からのアマゴ釣りなど遊漁者に広く利用されている。自然豊かな河川の中で釣り遊ぶ活動は、人と自然の触れ合い活動そのものであるが、これについて記述が抜け落ちているのは納得できない。漁業組合の活動から見れば産業活動とも言えるが、一般遊漁者からみれば自然との触れ合い活動そのものであるし、雑魚つりは子供たちの自然の中における文化活動そのものである。太古から続く人と自然の交流の活動である。調査がなされていないならば、やり直すべきである。
4.1−1 方法書についての意見に対する事業者の見解について 「(34)ダム下流への土砂供給の減少による豊川および河口部の地形に対しての影響を調査するべきである。」に対する事業者見解「布里地点より下流への影響は外部要因の影響が支配的となっていると考える」の部分 【意見】: 事業者見解は回答になっていない。影響を調査し、評価するべきである。 【理由】: 全国一のアサリの稚貝供給場所として知られる豊川河口六条潟の干潟・浅場は、主として豊川上流部からの土砂供給によって地形が維持されている。上流にダムが建設されれば、影響が出ることは確実である。その影響は短期間では目に見えないようにわずかであるが、数十年たてば、だれの目にも明らかなものになる。この点の調査・評価が必要である。
「(39)調査地域を豊川流域全体および三河湾まで広げるべきである。」に対する事業者見解「布里地点より下流への影響は外部要因の影響が支配的となっていると考える」の部分 【意見】: 事業者見解は回答になっていない。影響があるかないかの調査をし、調査地域を三河湾まで広げるべきである。 【理由】: すでに、多くの文献が、河川事業が海に影響を与えることを報告しており、豊川水系における河川事業が三河湾に与えている影響についての報告も出されている。事業者は文献調査もせずに、勝手な憶測で影響がないと判断するべきではない。事業者は、最新の知見に基づいて環境影響評価を実施しなければならない義務がある。
「(44)方法書に対する意見を踏まえて、平成17年以降も追加調査を行なうべきである。」に対する事業者見解「猛禽類、ネコギギ及びアベマキ・アセビ群落については、平成17年度も現地調査を実施し・・・」部分 【意見】: 住民意見を踏まえて、調査方法や範囲を検討しなおし、調査期間を新たに設定して環境影響評価の手続きを進めるよう求める。 【理由】: 方法書(H16年11月末から縦覧し、住民意見が17年1月初めにだされ、それを踏まえて知事意見が事業者側に届いたのはH17年4月末であった)に対する住民意見を聞くまでもなく、H16年度ですでに調査を終えたとしている事業者側の姿勢が根本的に問題であり、法律違反である。若干の不足部分の追加調査をした程度では、法律の趣旨に沿っているとはいいがたい。
「(61)重要な種としてオシドリを加えるべきである。」に対する事業者見解「餌付けによって維持されているため、注目すべき生息地には該当しないと考える」部分 【意見】: オシドリの里を含めて、寒狭川上流域を注目すべき生息地として位置づけるべきである。 【理由】: 近年では冬場に限り、最低限の給餌が行なわれているが、給餌活動が始まる以前から、オシドリの里付近の寒狭川にはオシドリは生息しており、現在繁殖も行なわれている。注目すべき生息地として、保護・保全することが必要である。
「(101)河川に生息する様々な生物の採捕活動を人と自然との触れ合い活動に位置づけ、その生物環境や活動の分布を調査し、影響評価を行なうこと。」に対する事業者見解「生物の採捕活動は、漁業権を伴う経済活動であり、人と自然との触れ合い活動に該当しないと考える」部分 【意見】: 事業者はダム建設事業の及ぼすアユやアマゴへの影響を調査・評価しなければならない。 【理由】: アユ釣りやアマゴ釣りは、人と自然との触れ合い活動そのものであり、子供たちの雑魚釣りを含めて、日本列島において太古から続く人と自然との触れ合いの文化に他ならない。
6.1.4 水環境 6.1.4−136 ダム下流河川予測モデル部分 【意見】: 準備書では「設楽ダム放流量は、利水計算にもとづく設楽ダム放流量の日データを用いた」とあるが、そのデータを準備書中に示すべきである。 【理由】: ダム完成後の下流域の環境影響を予測するのに不可欠であるので、準備書に載せるべきである。とりわけ、この設楽ダムの目的の一つに、大野頭首工および牟呂・松原堰下流の維持流量確保という河川環境再生(?)が掲げられているのだから、それとの比較上、ダムができた場合のダム下流の流量がどう変わるのかのデータを示さなければ、このダム建設によって生じる環境影響と、上記の過去の水資源開発による環境影響を改善する効果との比較ができない。この意味で、この流量データは環境影響評価の上で欠くべからざる重要な判断材料となる。
【意見】: ダム下流河川流量予測に関して、予測のために用いるべき諸データは、2001年の豊川総合用水事業完成以後についてのものを使い、かつフルプラン変更後の利水計算に基づいて予測をやり直すべきである。 【理由】: 準備書巻末の「参考1−13、14」には、ダム流入量、放流量、貯水位の予測結果がグラフで示されている。ここに示されている予測結果は、平成2年(1990年)から平成11年(1999年)までの10年間についてのものである。豊川総合用水が完成した2001年以後、また2006年のフルプラン変更後には、当然利水計算が変わるわけであるから、設楽ダム放流量の日データは新たに設定しなおさなければならない。
【意見】: フルプラン変更後には水質への影響の前提となる流量予測に変更が生じるので、水質予測をすべてやり直す必要がある。 【理由】: 2001年の総合用水事業完成以前の利水データを前提として予測がなされており、このままでは、水質に関する環境影響評価を行なうことはできない。
【意見】: 水質にかかる環境影響が回避・低減されているとする結論は誤りである。 【理由】: 水質について、総合用水事業の完成以前のデータを用いた予測で、すべてやり直すことが必要である。その条件を除外したとして、ダム湖による顕著な温度上昇、CODの上昇、植物プランクトンの発生が予測され、ダム下流への影響が予測されている。曝気循環設備によってこれらが解消できるはずもなく(解消するためには、膨大なエネルギー消費、したがって地球温暖化の促進効果が伴うであろう)、ダムの水質への影響は明らかであると結論するべきである。
【意見】: 動物の重要な種及び注目すべき生息地についての影響回避・低減の措置はまったく不十分である。 【理由】: クマタカに関しては、コアエリアが影響を受けるとの調査結果にもかかわらず、コアエリアにかからないように事業計画を縮小する措置がとられずに、工事期間中の一部措置のみ行なうとしているが、クマタカの繁殖に影響が出ないわけがない。また、ネコギギに関しては事業区域の個体を移植するとしているが、移植先が適地であれば先住のネコギギ個体群がいるはずで、移植措置は何らの保全効果もない。その他の移植対象として挙げられている種についてもネコギギと同様で、移植によって影響回避・低減はできない。そのほか、ヤマセミ、カワセミ、アカショウビン、カワガラス、タカチホヘビ、ハコネサンショウウオ、カジカガエル、モリアオガエル、カジカ、アマゴ、ゲンジボタル、オオムラサキなど、渓流と渓流沿いの陸域に棲息している多くの動物にとって、事業はその生息地を奪うことになり、絶対的な損失を与えることは明らかであり、影響回避・低減措置は何も考慮されていない。
【意見】: 植物の重要な種及び群落についての影響回避・低減の措置はまったく不十分である。 【理由】: 措置の大半が移植または移植の検討となっており、動物の場合と同様に、これによって影響を回避・低減することはできない。そもそも、野生植物の生理・生態についてはほとんどが不明であり、どのように保全するべきかは解明されていない。移植は移植先に新たな環境影響を及ぼすことにもなる。
【意見】: 準備書では、人と自然の触れ合い活動の場として、事業計画予定地およびその下流域のアユ釣り、アマゴ釣り、雑魚釣りなどが位置づけられておらず、アユやアマゴの生息環境についての影響調査予測および環境影響回避・低減措置がなされていない。 【理由】: 事業者は漁業権が絡む経済活動であるとして、除外する考えだが、これは誤りで、これらの遊漁活動は太古から続く人と自然の触れ合い活動に他ならない。寒狭川のアユとアマゴは広く全国に知られる釣りの名所であり、これを環境影響評価の対象としないことはありえない。
【意見】: 東海自然歩道、ならびにオシドリの里への影響についての記述のうち、「水位の変化は小さく、水位変化による影響は小さいと予測される」とされているが、流量変化について、調査予測評価を行なうべきである。 【理由】: 急傾斜の渓流においては、流量の変化が大きい場合にも、水位変化は小さくでるので、水位の変化だけでは影響を図ることができない。ダムの建設によって流量は大きく変化すると予測されるので、流量の変化がおよぼす影響について、調査予測評価が行なわれなければならない。 以上 |