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日本海洋学会が提言−三河湾の環境保全から設楽ダム・豊川用水について

日本海洋学会の海洋環境問題委員会が三河湾の環境保全の視点から、設楽ダム建設事業の環境アセスメントは海への影響まで含めて実施するべきであること、豊川用水への取水が三河湾の汚濁に影響することから、取水しすぎないように河川管理を実施するべきであるとの提言を、9月21日、愛知県庁で、記者発表しました。
以下に、提言の全文を紹介します。

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愛知県豊川水系における設楽ダム建設と河川管理に関する提言
日本海洋学会海洋環境問題委員会

 三河湾はわが国で最も化学的酸素要求量(COD:有機汚濁の簡易指標)の平均濃度が高く,環境基準の達成率が低い内湾である.三河湾の水域環境の現状をいかに改善するかは喫緊の課題であり,同時に今以上に悪化させないことが肝要である.近年,河川流域と沿岸の連続性が注目され,河川開発が沿岸環境に及ぼす影響評価の重要性が認識されてきている.三河湾の環境悪化の主因の一つとしても,海域内での埋め立て事業などと並んで、上流の豊川用水での取水による湾内への淡水流量の減少に伴い,エスチュアリー循環流(河口循環流)が弱まって湾内外の海水交流が滞ったことによる浄化機能の低下が挙げられる.さらに、豊川上流には新たに設楽ダムの建設事業が計画されており、河川開発に伴う三河湾の環境悪化はより一層深刻化する懸念が強い。日本海洋学会海洋環境問題委員会は,沿岸水域環境に及ぼす河川開発・管理の影響の重大性を認識し,下記に示すように、豊川水系の河川開発事業における十分且つ適切な環境影響評価の実施と,三河湾の再生に向けた河川管理の実施を提言する次第である.

(1)設楽ダム建設が三河湾に及ぼす影響を適正に評価できる環境影響評価の実施
 ダムの建設は、1)取水によって内湾の環境形成に本質的なエスチュアリー循環の減少をもたらす点,2)停滞したダム湖の汚濁した底層水と底泥が洪水時に流出することで海に多大な負荷がかかる点,3)ダム湖の堆砂に伴って海岸侵食を加速し、干潟・浅瀬を消失させる点に関して,三河湾への影響が強く懸念される.したがって,ダム建設が海域環境に及ぼす影響を適正に評価する作業に出来る限り速やかに取り組むべきである.
(2)三河湾の再生にむけた河川管理の実施
 湾内のエスチュアリー循環を駆動する河川流量を増やし,循環流量を増加させることが,三河湾の浄化機能の向上と水域環境の改善に不可欠である。2002年以降の豊川総合用水の計画取水量は需要に対して十分に余裕がある.したがって,取水が三河湾に与えている影響について評価を行い,その結果に基づいて、余剰の水を海域へ流出させるなど,三河湾の再生に寄与する河川管理を実施すべきである.